公開日 2018年05月01日
最終更新日 2018年07月31日
認知症の人と接するには、その気持ちや行動への理解が大切です。
これまでとは違った振る舞いには、認知症になった人なりの理由があることも多いのです。
接し方のポイントは認知症の人を中心としたケア
認知症の人本人の気持ちに寄り添い、接することで、認知症の人も介護する人も、ストレスを減らして気持ちよくなれます。
まずは認知症の人を“理解不能な人”になったと、拒絶するのではなく、もの忘れが多くなった“普通の人”として、これまで通り接することを心がけてみましょう。
ただし、水を流しっぱなしにしたり火を消し忘れることもあり、こうした事故につながるおそれのあるもの忘れは、フォローする必要があります。
言い争いなどが減ることでストレスが減り、行動・心理症状を和らげ、認知症の進行が抑えられれば、介護者の負担も減ります。
次の7か条を参考に、認知症の人を中心としたケアを心がけてください。
認知症の人を中心としたケアの7か条
1 安心感を与える
身に覚えのないもの忘れでいつ注意されるかわからない。そうした不安な毎日を送っているとしたら、よい環境とはいえません。
よいケアの基本は認知症の人が安心して暮らせるよい環境をつくることです。
もの忘れには、さりげないカバーでフォローすることを心がけましょう。
2 普通の人と同じように接し、人間として尊重する
「困った病気にかかった人」としてではなく、普通の人として接してください。
認知症の人は記憶力は低下しても、不安や悲しみを感じる心が鈍くなったわけではありません。楽しいことは楽しい、悲しいことは悲しいと感じられます。
気遣いや配慮を忘れずに一人の人間としての尊厳を守ってください。
3 プライドを傷つけない
認知症であっても、これまでの人生で培った経験と誇りは残っています。
認知症だからわからないだろうと、そうした経験を否定したり誇りを傷つけるような言動は厳禁です。
プライドを傷つけられると怒ったり暴力行為に及ぶことがあります。
4 失敗を責めない
これまで当たり前にできていたことができなかったり、失敗したからといって、叱責しないように。
責めるのではなく、「大丈夫だよ」「心配いらないよ」と安心させてあげることが大事です。
5 教えようとしない
丁寧に教えられたことも記憶からこぼれ落ちてしまうので、学習効果は期待できません。
ただし、感情をためておく記憶の場所は別にあり、機能低下が緩やかなため、「嫌な気持ち」はいつまでも心に残ります。
6 訴えを頭ごなしに否定しない
幻想や妄想だと思っても、その訴えをしっかり聞くことが大切です。
一生懸命聞くことで認知症の人は安心してくれます。
しかし、間違ったことを言っているときは、肯定はせず、優しく伝えましょう。
7 短く簡潔な言い方をする
一度に二つの話をすると認知症の人は混乱してしまうことがあります。できるだけ簡単な言い方で短く伝えましょう。
例えば、「雨が降りそうだから傘を持って車で行きましょう」ではなく、「雨が降りそうです」「傘を持ってください」「車で行きましょう」と一つずつ話すといいでしょう。